こんにちは。祁答院蒸溜所、杜氏の山下です。
今回も、蔵案内の際に、お客様より、おお~と思うような質問をいただいた、『焼酎のなぜ?』第三弾についてです。
伝統的酒造りが、ユネスコ無形文化遺産に登録され、今まで以上に、焼酎造りに熱を込めています。(現在はオフシーズンですが、来期に向けて準備をしている所です!)
焼酎造りでは、一麹・二酛・三造りという言葉があります。これは、おいしい焼酎のためには、一番に麹の出来が大きく、次に酛(酵母)、造りが重要という意味ですが、麹の出来が、その焼酎の8~9割を占めると言われています。
わたしたちは、その麹造りを「手造り」にて行っていますが、お客様より、麹の役割ってなんですか?という質問を頂きました。

今回は、そんな「麹の役割」についてのお話です。
麹の役割
麹の役割は、大きく分けて2つあります。「酵素の生成」と「クエン酸の生成」です。
1.クエン酸の生成。~クエン酸は何のために必要か?~
麹が作ってくれる「クエン酸」は、レモンや梅干しを食べたときに「酸っぱい」と感じる、酸味成分です。
ここ鹿児島は、みなさんご存じの通り、南国で暖かい気候の為、モロミの温度が上昇しやすく、麹菌や酵母菌以外の菌が増殖しやすい環境になりやすいです。このため、その他の菌を繁殖させない為に、麹に「クエン酸」を生成してもらいます。日本酒の蔵では、黄麹を使用しますが、黄麹は、クエン酸を生成しない為、焼酎蔵では、主に黒麹や白麹を使用します。
また、このクエン酸は、蒸留されない為、モロミの段階では酸っぱいのですが、出来上がる焼酎は、酸っぱくありません。
2.酵素の生成。~酵素は何のために必要か?~
麹が生みだす「酵素」は、原料(米・芋・麦)に含まれるデンプンやタンパク質、脂質などの様々な物質を分解してくれるものです。
・デンプン → ブドウ糖
・タンパク質 → アミノ酸
・脂質 → 脂肪酸
このように酵素が分解することで、酵母菌が「アルコール(焼酎)」や「香味成分(香り)」に変える手助けをします。
酵素によって分解されたブドウ糖やアミノ酸、脂肪酸は、酵母菌の力によって以下のように変わります。
・ブドウ糖 → アルコール(焼酎)・炭酸ガス
・アミノ酸・脂肪酸 → 香味成分(本格焼酎の香り)
つまり、麹造りで酵素生成が上手く行けば、より多くのアルコール、より多くの香味成分を作れるのです。その為、焼酎造りでは、麹造りでその焼酎の8~9割が決まると言われています!

焼酎における芳醇な香りや甘味、さつまいも特性の香りなどは、麹のクエン酸や酵素が頑張ってくれるおかげなのです。そのため、我々蔵人も、この麹の働きの手助けとして、麹の育ちやすい環境(温度)作りに汗を流すのです。
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鹿児島の森と湖と温泉の町より~祁答院蒸溜所(けどういんじょうりゅうしょ)~