鹿児島の焼酎蔵・祁答院蒸溜所から、杜氏の山下です。
さて今回も、蔵案内の際に、お客様より、「おお~!」と思うような質問をいただいた、『焼酎づくりの???』について話したいと思います。
通常芋焼酎に仕込むさつまいもは、黄金千貫(こがねせんがん)という品種が用いられますが、芋の品種が異なると、その品種によってさまざまな芋焼酎の特徴が出てきます。
先日、お客様より、「なぜ同じさつまいもなのに、香りが違うの?」という質問を頂きました。
まずは、同じさつまいもでも、皮と肉質の白い白系、皮が赤く肉質が薄黄色の赤系、皮が赤く肉質が紫の紫系、皮が赤く肉質が橙の橙系の大きく4系統に分けられます。
実は、それぞれ系統により香りが異なるのです!
白系さつまいもによる芋焼酎の香りと風味
白系は、黄金千貫やみちしずく、シロユタカなどの品種がありますが、他の系統と比べ、デンプンが多く、焼酎になった時、甘味が強く出るのが特徴です。また、柑橘香があり、すっきり飲めるのが特徴です。

黄金千貫です。
鹿児島県の芋焼酎は「黄金千貫」を使用していることが多いです。
赤系さつまいもによる芋焼酎の香りと風味
赤系は、紅マサリや紅乙女、紅はるかといった品種があり、芋自体は甘味が強く、一般的に皆様が目にされる「焼き芋」として好まれます。

焼酎にしますと、甘味、旨味が強く、芳醇な味わいで、香りは、フルーティーな香りと花の爽やかな香りが楽しめます。
紫系さつまいもによる芋焼酎の香りと風味
紫系は、綾紫や頴娃紫、紫マサリといった品種があり、他の芋と比べ甘味が少ない印象ですが、その色素からケーキやタルト、和菓子などに使用されます。焼酎にすると時は、ほのかな甘みと旨味があり、特に印象的なのはヨーグルトのような爽やかな香りとバラのような気品のある香りが楽しめます。

紫芋は皮、果肉ともに濃い紫色です。

紫芋を芋かけをした後のモロミです。モロミは美しい濃い紫色になります。
橙(オレンジ)系さつまいもによる芋焼酎の香りと風味
最後に橙系は、安納芋やハマコマチといった品種があり、芋自体が濃密で甘味の強い芋で、焼酎になった時は、甘味が強く濃厚な味わいで、香りは、蜂蜜や紅茶、香ばしさ、レモンティーのようなさっぱりした香りなど色々楽しめます。

ハマコマチを蒸したものです。蒸して食べると、濃密な甘さが強い芋です。
まとめ
芋の品種によって色んな香りを楽しめるのも、芋焼酎ならではです!
これは、芋の品種によって含まれる物質が、酵母への働きかけや蒸したり蒸留したり熱を加える事で、様々な香り成分に変化し、香りが異なってくるためです。
紫芋に多く含まれるアントシアニンという色素は、酵母の働きかけによりジアセチルという物質が生成され、このジアセチルが、ヨーグルトの香りになり、他の芋とは異なります。
このように、芋の品種によって様々な香りを楽しめますが、この香りは、焼酎の中に含まれるすべての約0.2%しか占めておらず、いかにそれぞれの香り成分が頑張っているのかがわかりますよね。
私たちも、芋焼酎をつくる際に、日々勉強、研究し、それぞれの香り特徴がより良く発揮できるよう、お客様にこれはすごいと喜んでもらえるように頑張ります!!
白系さつまいもの芋焼酎

芋焼酎「野海棠」(のかいどう)
赤系さつまいもの芋焼酎

芋焼酎Otome tsubaki(おとめつばき)
紫系さつまいもの芋焼酎

芋焼酎「野海棠いざなう」
橙系さつまいもの芋焼酎

芋焼酎「甑島小町」
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